2024年3月現在、原作の改変が話題です。
著作者人格権という用語を初めて耳にした方も多いのではないでしょうか。いわゆる著作権とは違うのか、などといった疑問があろうかと思います。
そこで本記事では、著作者人格権について分かりやすく解説します。
弁理士のむぎが解説します。
著作者人格権とは
著作者人格権とは、著作者の人格的利益を保護する権利であり、著作権の種類の1つです。
広義の著作権は、著作者人格権と著作財産権に大別されます。
一般にイメージされる著作権とは、著作財産権を指すことが多いと思います。
著作者人格権、著作財産権というのは、各々が複数の権利の総称になります。
著作権法が少し分かりにくいのは、具体的なシーンに合わせた様々な権利(支分権と呼びます)が規定されていることです。
著作財産権には、複製権(著作物を複製する権利)、公衆送信権(著作物を公衆送信により伝達する権利)などがあります。
そして、著作者人格権には、公表権、氏名表示権、同一性保持権の3つがあります。
公表権
公表権とは、著作物の公表の態様を決定する権利です。
著作者は、著作物を公表するか否かに加えて、公表の方法・時期などを決定することができます。
氏名表示権
氏名表示権とは、著作物の公表に際して、氏名表示の態様を決定する権利です。
著作者は、著作物に対して著作者名を表示するか否かに加えて、表示する場合の著作者名を実名・変名いずれとするかなどを決定することができます。
同一性保持権
同一性保持権とは、著作物の内容及びその題号の同一性を保持する権利です。
著作者は、自身の意に反してこれらの改変を受けないことが保障されています。
その他備考
著作財産権は、第三者に自由に譲渡することができます。
一方、著作者人格権は、人格的利益を保護するという趣旨から、著作者固有の一身専属的な権利であって、第三者に譲渡することができません。
そのため、著作物についての契約において、著作者が著作者人格権を行使しない旨の特約が設けられることがあります。
この場合、著作者は、契約の相手方に対して著作者人格権を行使できなくなることに留意する必要があります。
例えば、原作が改変されても文句が言えなくなる可能性があるということです。